21日は夏至。1年で最も昼の長い日、つまり紫外線(UV)が最も多く降り注ぐ時季だ。(曇りでもかなりのUV量になるので要注意)。蟹座生まれの僕は、暑さには馴れていると思ってきたが、ことしは気がつくと口内炎ができていた。そこで話題は、漢方にうつる。

振り返れば、子どもの時分から口内炎には悩まされてきた。オレンジ色の玉が鮮やかなチョ〇ラBBはいつも鞄にしのばせていた気がするし、無口な性格の一部には口内炎が寄与していると、こじつけることも可能だ(しゃべると痛い)。塩気の濃い味つけが嫌いなのも多分関係している。(因幡の白兎の話を思い出してほしい)。
あれは確か医学部に入り直したころのこと。風邪と口内炎でかかった医者から初めて漢方を処方された。それが「温清飲(うんせいいん)」だった。アルミのパッケージに入った顆粒を1日3回食前服用。漢方といえば草木の根っこなど煎じて飲むイメージだったから(今でもそれはある)、最初は半信半疑だったが、のんでみてびっくり。今までの、どの治療よりよく効いた。2週間近くの憂鬱な日々が半分以下に短縮されたのだ。
それ以来、漢方の虜(とりこ)になり、自学自習に加え、医者になってからは各地の勉強会で先達の教えを乞うた。何より実地で試すのが一番といわれ、精神科の患者さんに処方しだした。当時は、こころの病に漢方なんてとおもう医者が大半だったと記憶する。それがいまや、医学部講義の必修科目に上がっているのだ。

①温清飲はなかでも漢方の考え方がよく表れた処方だ。かいつまんで説明しよう。
東洋医学は病気をそのひとの弱点が表れ出た結果と考える。風邪は、外邪(=現代医学ではウイルス)が悪さをして、本人の弱点に出る。僕の場合なら口内炎のように。その邪(=炎症)をまず鎮めるのに②黄連解毒湯(おうれんげどくとう)という冷まし薬を使う。と同時に、免疫力の足りない部分にたいし(=漢方では血虚(けっきょ)と呼ぶ)、逆に温める作用を持つ③四物湯(しもつとう)を使う。実は温清飲は両者の合方(ごうほう)なのだ。②+③=①というわけだ。
これは西洋医学では思いつかない発想だろう。ふつうなら(+)+(-)=(±)つまり0 と考えるのが西洋医学だからだ。しかし、以前にも書いたが、人間の体は「自然」の一部であり、理屈通りには運ばない複雑系である。
西洋医学ではこう考える。紫外線を浴びると免疫系に影響を与えることがある。膠原病では日光を浴びすぎると病気が悪化することがある。口内炎は膠原病の一部にあらわれる症状でもあるので、検査して、、と分析的なアプローチを行う。かたや東洋医学では、そのひと全体をとおして病気を診断、治療する(これを随証治療という)。だから、温めて同時に冷やす(清)のは、体のバランス(恒常性)を整える意味では当然なのだ。(バカボンのパパなら”これで、いいのだ”)。

今日は( 括弧 )の多い読みにくいコラムになってしまった。決して恰好づけているわけではなく(苦笑)、漢方の魅力、考え方を皆さんに伝えたかったのだが、隔靴掻痒(かっかそうよう)の感なきにしもあらず、といったところか。さて、キーボードに向かっているうちに肩も凝ってきた。ここらで筆を擱(お)いて温清飲をのもう。