終戦から75年。本能寺の変で織田信長は「人生五十年」と謡ったという。遠い戦国時代の話と思いきや、昭和22年の日本人の平均寿命は男50歳(女54歳)だった。それが平成、令和ときて、いまや男81歳・女87歳まで延び、人生百年時代に向かっている。

 嵐山光三郎氏は著書『不良定年』で、人生十五番勝負を提唱した。現役でいられる時間を75年間と定め、15日間で取り組む相撲になぞらえ、5年区切りで十五番星取表を作ろうというもの。そこで、これを機会に自分史を振り返ってみた。
 誕生年は今年と同様、梅雨前線豪雨と第二室戸台風の災害に見舞われた。世界に目を向ければ、ガガーリンが人類初の宇宙飛行を成し遂げ、ベルリンの壁が築かれた年。嵐山さんに従い、初日は生まれたことだけで勝ち(〇)でR。
 次の5年はトタン板で右手を切って七針縫ったり、小学3年で授業ボイコットしたりなど、やんちゃクチャの日々で負け(X)。3日目の十代前半は、勉強とボーイスカウトで文武両道を貫けた手応えから〇。4日目のハイティーン時代は、電車通学の高校生活が充実していたし、大学は「都の西北」で学べたが、失恋の痛手が大きくX。
 とまあ、こんな具合に星取表をつけていったら、12回の結果は6勝6敗。残り3回で勝ち越しを狙いたい〔詳細を知りたい方は個別にご連絡ください。あっ、関心ないですか、そうですか〕。

 ではでは、千秋楽を迎えた“ニッポン君”の勝敗やいかに――これはひとそれぞれで結果が変わってくるだろうと思う。たとえば、初日は敗戦で主権を失いXをつけるひともいれば、いや、戦後民主主義の始まりで〇と主張する方もおられよう。
 主流派を想定すれば、高度経済成長期は〇が多いのだろうか。ならばバブル期は〇で、リーマンショックはXか。うなずく方に問いたい。人はパンのみにて生くるにあらず、とはどういう意味なのか。

 最近立て続けに同級生が亡くなった。今日という日が明日も続くとは限らない。コロナ禍のさなか、そんな当たり前を改めて思い知った。
 この文章を書いている途中にニュースが入った。渡哲也氏死去。テレビでは、大河ドラマで信長役を務めた映像が流れた。「人生五十年」――享年78歳。死因は肺炎という。新型コロナウイルスと関連は? 
 いや、そんなことより、大門刑事の演技や「くちなしの花」を歌う渡さんを思い出しながら、こう尋ねたい。お疲れさまでした。人生場所の帰趨は何勝何敗でしたか?