新型コロナウイルス対策のなか、中小企業の持続化給付金委託先“中抜き”が問題になっている。電通に再委託する間に20億円が“消えて”しまった。
 わが国の企業421万社のうち、99.7%が中小企業で従業員数は7割(約2784万人)を占める。コロナ禍で200 社以上が倒産し、2万人が解雇された。雇用に悩む人たちの怒りが中抜き問題にどう向かうのか。黒人暴行死問題で騒然とする米国と、暴動の起きない日本の差を思う。
 
 私が産業医を務める政府系金融機関でも、困窮を訴える来店者への対応で、スタッフの残業は軒並み過労死ラインの80時間を超えている。
 定年後再雇用で勤務する60代男性。融資担当だが、コロナ対応で資金繰り相談は通常の6倍。4月上旬、仕事中に頭が真っ白になった。住まいの名古屋にあるメンタルクリニックを受診すると、まず検査しましょうと採血された。
 多忙で足が運べず後日、結果を電話で聴こうとすると、対面でないと答えられないとの返事。それからじっと我慢の子で1ヶ月半。精神的には元に戻り、振り返る余裕もやっとでた。
「40年近く働いて、いちばんの忙しさ。リーマンショックの時は地方にいたけど、融資のハードルはそんなに下げなかった。今回は下げざるを得なくて住宅ローンも延長。自己判断のプレッシャーで、ふだん110~120の血圧が180まで上がりました」
 もうひとりは50代男性行員。痛風のため、飲みたいビールを我慢しながら平成の時代をバンカーとして切り抜けてきた。趣味のランニングで鍛えた肉体も疲れ切っていると自覚する。
 「3月の残業が106時間。あのころは短期で終われるかなと思って頑張り過ぎました。4月が99時間、5月にようやく80時間を切れました。土日は走らずに休養に宛ててます」

 以前の当欄で記したように、人類はかつて何回も大きな疫病(エピデミック)に順応してきた。今回もそうなるだろう。渦中の庶民の苦悩は過去なかなか記録には残りにくかったが、デジタル化社会となった今回のコロナ禍は、こんなちっぽけなSNSにもその足跡の一端を残しておきたい。