新型コロナウイルス(今後当欄では「コロナ」と表記)の緊急事態宣言を受け、外出自粛をめぐって星野源さん(以降、政治家や芸能人など著名人は敬称略)がインスタグラムで公開した「うちで踊ろう」に有名人がコラボして話題を呼んでいる。
 その中で唯一、批判を浴びているのが安倍晋三のツイッターだ。星野の弾き語りに合わせ、ソファに身を横たえてお茶を飲み、飼い犬を抱きながらくつろいでいる動画をアップ。「何様のつもり」というワードがトレンド入りした。
 当然、「首相さま」なのだ。少し前から、この国では「KY」と称して場の空気を読めない人をくさす言葉がはやり、辟易していたのだが、事ここに及んでは、KYシンゾーとでも呼ぶしかないと思われた。私も観て唸らされた映画『孤狼の血』の監督、白石和彌もツイッターで「これほど無神経な人間を他に知りません」とコメント。日本共産党委員長の志位和夫は「国民に外出自粛を要請することは、あなたが外出自粛をすることじゃない」とツイートした。では、いったいなぜ?
 以前、中日新聞が安倍晋三について「坊っちゃん宰相」と名付けて連載したことがあった。精神科医の私は担当記者から彼の小学校卒業の作文を見せられた。晋三小4の時、父の晋太郎は衆院議員一回生から落選、安倍家は父親不在の時期だった。友人の少なかった(とされる)晋三の孤独を癒やしたのが飼い犬だった。
 作文は唯一の友のように描かれる飼い犬との別れが主旋律。父や祖父と同じ政治家の道を歩み、北朝鮮の拉致問題に熱心だった理由のひとつは、学童期の孤立をトラウマ的に抱える晋三の思いが表れたものと分析した。
 今回の星野源コラボ動画を(おそらく)善意でアップした晋三は、国民的な反発を受けるとは思いもよらなかっただろう。その無意識に、小学校時代のトラウマが潜んでいるという印象をもった私は、コロナ国難の今、多くの人々と共有したい思いにかられる。
 日本のかじ取りは、右翼でもなければ、独裁者でもない。寂しがり屋で、決断ができない、強がりのお坊ちゃんであることを。