新型コロナウイルス(正式にはSARS-CoV-2、以降新コロナ)が猛威を振るっている。中国・武漢で2019年末に始まった感染は3月15日までに世界125か国に広がり、WHO(世界保健機関)はパンデミックを宣言。現在はヨーロッパを中心にアフリカにまで拡大中だ。
 すでに知られる通り、新コロナの特徴は潜伏期が長く、初期症状が通常の風邪と変わりない点だ。そこがインフルエンザウイルスとの違いで、ゆっくり、着実に広がるような戦略を新コロナは取っている。おそらくピークは少し先になるだろう。これはPCR検査の実施に関係なく、何峰も来る可能性がある。
 そんな、状況下でどう対応するかの判断は高度に政治的なものだが、そのベースには医学的・疫学的に正確で冷静な情報が元になっていなければならない。目下の情勢では、クラスター(小集団)での伝播が重要であり、感度(感染者が陽性となる確度)がそれほど高くないPCR検査をクラスターの濃厚接触者に集中させて行う必要がある。
 感染拡大阻止のためには、該当者・施設のプライバシー保護との軋轢が生じる。両者は本質的にシーソーの関係にあり、自治体によって後者の情報開示が細かいところと不十分なところとの落差が激しい。その背景にあるのが、感染者への差別と僕は考える。それは、かつて、ハンセン病などで繰り返された歴史を思い起こせばよい。これは日本人に限ったことではないが、同調圧力の強いわが国により顕著だと感じる。
 かつて、「風邪は社会の迷惑です」というTVコマーシャルがあった。アレを観た時のいやな感じは今も忘れない。どうせなら、樹木希林と岸本加世子の写真フイルムCM「美しい人は美しく、そうでない人はそれなりに」の調子でいきたいものだ。インスタントカメラもパンデミックを起こすウイルスも結局はそれなりに「ウツるんデス」。非科学的に自粛して、みんな「ウツ」にならないように願う。