父の日のきょう、サッカー・ワールドシリーズで全日本代表チームが初戦に臨んだ。結果は残念だったが、地球の裏側から送られる画面からは、冬に向かう季節、雨の下で闘う選手たちの生の表情が伝わってきた。同時に強く脳裏に焼きついたのが、緑色グランドに映える日本とコートジボワールのユニフォーム色「青とオレンジ」。
インターネットで調べると、全日本代表の正式な愛称はザックジャパンではなく、「SAMURAI BLUE」らしい。ちなみにプロ野球全日本選抜の愛称は「SAMURAI JAPAN」。つくづく日本人は侍が好きなのだと感じ入るが、理想の父親像論は星一徹とからめて後日書くこととし、本日の話題は「色」である。

先日、愛知県美術館の「シャガール展」を観に行った。シャガールといえば、”色彩の魔術師”などと形容されるように、絢爛(けんらん)かつ神秘的に原色を組み合わせる独特の色使いが心に残る。今回は特に、パリのオペラ座に描かれた天井画下絵の展示が白眉だった。直径15mの円形キャンバスは5つの色彩領域(青・緑・白・赤・黄)に分けられ、シャガールの選んだオペラやバレエなどの主題がそれぞれ描かれている。たとえば、青はムソルグスキー歌劇とモーツァルト「魔笛」といった具合だ。エッフェル塔は「サムライブルー」と同じ青で描かれ、その背景はゴッホを彷彿(ほうふつ)とさせる渦巻タッチの赤でバレエ「火の鳥」を表現している。

色について少し医学的説明をしたい。霊長類としてのヒトは外界の情報収集器官として視覚系を極度に発達させた。五感のうち視覚による情報量は9割以上といわれる。ものを視るとき、視覚情報は眼球の後面内側に張り付いている網膜から視神経を通って、大脳の後頭部に送られる。その後、ものの①かたち②色の要素に分けられ、③動き(時間)の要素とあわせ、脳の別々の場所で処理される。最後に前頭部の記憶とすり合わせが行われ、ヒトの意識に「見えた」という感覚が生じるのだ。ややこしいが、要はひとの認識に色と形は絶大な影響を及ぼしているということだ。色によってなぜか特有の感情が誘発されやすいのも面白い。人種性別などによらず、赤は情熱、青は冷静、というように。夜間、窃盗や痴漢の続く地域の街灯を青色に変えたら犯罪発生率が減ったという研究もある。

色について書き出すと、いろいろ思い浮かんできて、収拾がつかなくなりそうになる。そこが色の色たるゆえんかもしれない。「色即是空」の世界に到達するにはまだ未熟すぎると自覚はするものの、色めき立つことなく、毎日を過ごしていきたい。まずは、サムライブルーの次の試合を楽しみに待とうか。