名古屋市東区・日本棋院中部総本部で鯱光(ここう)会囲碁大会が開かれた。鯱光会は僕の出身校である愛知県立旭丘高の同窓会名。ことしは記念すべき第10回だったが、2週連続で日本列島を襲ったサンデー台風の影響もあり、参加者は二十数人。それでも、節目の開催に現役高校2年の中川朝子さん(4段)が参加。プロ棋士の青葉かおり、池崎世典(ときのり)両先生の指導碁などで盛り上がった。〔ついでに、僕も対戦相手に全勝して賞を頂きました〕。

ひと昔前まで、囲碁将棋といえば盆栽と並んで“じじい”の趣味と思われていた。それがいまや、将棋は愛知県が生んだ中学生棋士・藤井聡太四段の大活躍でトレンドになったし、囲碁は井山裕太九段が全タイトル七冠を再達成してワイドショーでも話題となるご時世。少年時代からの「碁キチ」人間としてはうれしい限りだ。

昨年4月24日付当欄でこの話題を取り上げた。井山七冠達成を祝すいっぽう、人工知能(AI)が世界トップ棋士を破った知らせに驚愕したのがその理由。ところが、あれからわずか一年余で事態はさらに進み、プロがAIに勝ったら逆にニュースになる始末。はたして誰がこの急展開を予想できたろう?

囲碁は黒石と白石を交互に碁盤の目に置いていき、陣地〔人知〕を争う単純なルールのボードゲーム。その組み合わせの膨大さから、コンピューターがチェス王者を破った20年前は、囲碁の組み合わせの膨大さゆえ、人間に勝つのはずっと未来のことと思われていた。ところが、バブル経済破綻のツケを払ってきた平成も終盤になり、AIという“神の一手”が降臨してきたわけだ。ーー。

娘が成人して運転免許を取り、初心者マークの助手席でハラハラした先月。しかし、このぶんだと意外と近い将来、心配はAIの自動運転にお預け、という時代になるやもしれぬ。僕の仕事である医療界でも、AIを駆使した医療ロボットが活躍する日も近いだろう。患者さんの心を読み取るロボットがしゃべる光景を想像すると、背筋が凍る思いもするが、、、。 

囲碁の別称として、黒石を烏(カラス)、白石を鷺(サギ)に見立て、「烏鷺(うろ)」という。ときおり、顔を出す名古屋・栄の碁席は『烏鷺朋(うろとも)』。また、中国三千年の歴史を起源に持つ囲碁は相手との交渉の席でも嗜(たしな)む芸技とされ、「手談」とも呼ばれる。
朋あり、遠方より来る、また楽しからずや〔論語〕ーーAIともそう呼べる関係を築ければ、人間の世界も少しはマシになるのだろう。