師いわく、人生七十古来稀なり。そのデンでいけば、日本国憲法施行70年をどう言祝(ことほ)ぐのかは、我が国の行く末を占ううえで、超重要なポイントとなるだろうーー

ーーこの後の文章を考えていたら、とんでもないニュースが飛び込んできた。
安倍首相が憲法改正推進派の集会で「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と、ビデオメッセージを寄せたのだ。しかもその内容は、憲法9条1,2項を残したまま、自衛隊を明文化すべきというもの。
確かに現行憲法は、敗戦による連合国の占領状態下で制定された。しかし、法律的には適正手続きの下、改正されたものであり、何をおいても、この70年間、それを是認してきた日本国民の総意がある。
むろん個々人で異なるさまざまな意見は尊重されるべきであり、自由民主党は結党以来改憲を党是としているのだから、自民党総裁である首相の口から改憲の二文字が出て不思議はないといえばその通りだが、、、。

民放TVで石破茂元防衛相は、安倍首相のような内容で党内議論が出たことは一度も無いと述べ、交戦権まで否定した9条2項と自衛隊を同じ条文で並置させることに強い違和感を表明していた。
論理的に見れば、「あべ」より「いしば」が正しいことは火を見るより明らかだ。鉄道・プラモデルおたくで、曲がったことの嫌いな石破氏にしてみれば、総理の発言は誠実さに悖(もと)ると映ったことだろう。「侵略戦争ははっきり憲法上否定し、自衛のための戦闘は国家の権利として当然認めなければならない」とする話には、きちんと筋目が通っている。
かたやプロパガンダに関しては、今の日本で右に出る者はいないと思われる安倍首相。石破元防衛相の主張は百も承知だろう。「問題は理屈ではなく、国民をどう納得させ、導けるかだよ」と言っているように聞こえる。昭和の時代なら、自民党内ですでに”数のおごり”として議論が出たに違いないが、そこが平成という時代なのだろう。

ここで読者諸兄、これがなんで心療内科ブログなの?といぶかる方のためにーー
院長(筆者)は医者であり、法学部卒の人間です。一つ目の大学に入ったあと、目指したのは憲法の研究をすること。「国はいかにして個人を”縛る”ことができるのか?」という哲学的課題を20歳そこそこの若造は思い悩んだ。
結局、法律家にならずに、マスメディアの道に進んだものの、そこも7年で通過し、今度は医学の道へ。
その時考えたのは、「心はいかにして体を”縛る”のか?」。日本海を隔てた半島北部にある独裁国家とは違って、なんでも自由に考えられる国、日本〔それも最近怪しいが〕。
しかし、その先入観は精神医学、心療内科を学び、実践するうちに間違っていたことに気づく。
ひとは、そのひとが思うほどには自由に考えることも行動することもできない真実。
憲法は英語でConstitution. 医学的には、「体格、気質」という意味がある。日本という国家の”体質”はどうなっていくのか、法学・医学を学んだものとして、これからも見つめていきたい。