18金(K)――ゴールド(金)の純度は24分率で表記され、24金が純金、18金は24分の18(=4分の3)が金で残りが他金属の合金という意味。

参院選が明日に迫った。目玉はもちろん、選挙権が初めて18歳以上に引き下げられたこと。世界の趨勢である18歳選挙権国に仲間入りした日本は、未来を若者に託すにふさわしい国たりえているか――

わが国の近代選挙制度は125年ほど前に遡る。
1889(明治22)年、大日本帝国憲法発布。満25歳以上の男子で直接国税15円(現行価値で60~70万円相当)以上納税者に選挙権が付与された。
1925(大正14)年、納税条件が撤廃され、満25歳以上男子全員(総人口の2割)に選挙権が付与された。抱き合わせとして同じ年、治安維持法が制定され、日本は太平洋戦争への道を突き進んで行く。
1945(昭和20)年終戦。満20歳以上の男女が選挙権を獲得。初の完全普通選挙の実現は、いくさに負けることで得た代償でもあった。そして得たのが、戦争の永久放棄を高らかにうたった日本国憲法だ。
1947年、新憲法下、初の参議院議員通常選挙が施行された(戦前、二院制の片方は貴族院だった)。
1982年、参院選全国区が拘束名簿式比例代表制(投票者は候補者個人でなく政党にのみ投票)に変更された。(~1998年)
2015(平成27)年、選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げる公職選挙法改正。

だらだらと社会科教科書ふうに記したのは、初めて投票に出向く若者のみでなく、成人選挙権者にも改めて考えてもらいたいがゆえだ。〔がまんして読んで下さった皆さん、お疲れでしょうが、最後までお読み下さい〕。
僕が最初に選挙に行ったのは大学4年の夏だった。第13回参議院議員選挙。その3年前の衆参同日選で大勝利した自民党、中曽根政権時代。初の比例代表制選挙で、全国区は政党名を記入した。サラリーマン新党
や第ニ院クラブ、福祉党といった党名が、投票所となった小学校の風景とともに懐かしく思い出される。

あれから四半世紀以上が過ぎ、高校生が清き一票を投じる時代となった。今回の選挙争点は、一億総中流社会と言われたバブル以前の昭和時代と比べ、明らかに二極化している経済、所得の再分配が“A面”。その裏に、憲法改正に必要な総議席数の3分の2を与党が獲得するかどうかという“B面”がある。自民党の党是が自主憲法制定なのを知らずに支持している国民の多い事が、この国の行く末を決めるかも知れない選挙という意味で、歴史に残るだろう。

早稲田大学創始者の大隈重信は人生125歳説を信奉していた。生き物の寿命は成長期の5倍と唱えたある生理学者の説が根拠だ。大隈は25歳までを成長期と捉えた。
それに従えば、10代有権者はまだ“成人”の4分の3までにしか届いていないことになる。だが、それで良いと思う。未完成ということは可能性を残しているということだ。万年筆のペン先に必ずしも純金(24金)が適すとは限らず、18金の方が有用なように。

「選」の語源は、神前で二人の者が並んで舞う形から来ている。揃って舞うから「そろう」となり、神前で舞うのは選ばれし者なので「えらぶ」意となった。(白川静『常用字解』)。
戦争をしない日本を選ぶために、18歳の君、ーー舞え!