小型無線飛行機(ドローン)を公共の場で無断操縦したとして15歳の少年が逮捕された。怪我の危険があるというのが表向き理由だが、逮捕はやりすぎという意見と、当然という主張が交錯している。本日の院長コラムでは「視点」をキーワードに論じてみたい。

先日、NHKで興味深い特集をしていた。「高所平気症」。高所恐怖症と逆の状態で、小さい頃からマンション高層階で育つと、高い場所でも何ら恐怖感を覚えないという。最近、ベランダからの転落事故が増加した関連で出てきた概念で、医学的に承認された疾患ではない。
それで思い出したのが、マンションで育った子どもは車をマッチ箱のように描くという話だ。これまでそうした患者さんに出会ったことがないので、都市伝説なのかいまだに定かでない。ただ、Google mapを初めて見た時の驚愕は今も鮮明だ。
ーーパソコンに自宅住所を打ち込むと、数十センチ四方の画面に収まっていた地球がずんずん膨張し、こちらに迫って来る。雲が晴れ、見慣れた街並みが現れ、いつもの屋根とマッチ箱のマイカーが並ぶーー

角出納屋無さん(35歳)。心療内科受診理由は「平坦な道が下って見える」。眼科的には問題なく、目まい様の症状もある為、耳鼻科にもかかったが、重篤な異常は無し。最初は腑に落ちなかった。しかし、診察で話すうちにストレス源に気がついた。
ーーある日、知らない業者から商品が届いた。「うちは宅配頼んでませんよ」。「でも確かにお宅です」。依頼者名はなるほど、間違いなく角出とある。住所も正しい。仕方がないので代引料金を支払った。
しばらくして今度は違う業者からの寝具が届いた。やはり依頼者は自分になっている。そんなことが繰り返され、寿司桶が届くに及んでは黙っているわけにはいかない。
調べると同一郵便局の消印と判明した。警察に届けると、個人まで特定できないと捜査出来ないという。(それをするのが警察じゃなかったのか)。新聞社にも相談したが、門前払いされた。その間も卑怯勝手な注文は続いている。その頃から道の傾きが酷くなった気がする。
最近、角出さんと同じ被害を受けている人たちが複数いると分かった。被害者の会を立ち上げるか検討する段になって、傾きは以前より心持ち改善した様子だ。卑劣な犯行の対応に苦慮する一方、他人の視線で物事を見てみると脳も変わる気がする。

ドローン(Drone)とは雄のミツバチのこと。あのブーンという羽音が語源という説もある。翼を持たないヒトにとっては、使い方次第では有用な文明の利器と思う。一方で、地べたを這う虫の視点から物事を眺める事も必要だろう。角出さん事件の犯人がこのままドロンしないことを願いつつ、今日は筆を擱く。