68回目の憲法記念日を迎えた。1年前の当欄では、『憲は剣よりも強し』のタイトルで議論を展開した。きょうはその続編。

日本国憲法の三大原則のひとつ、平和主義。それを条文で示したのが第9条。このコラム読者全員が小学生のとき学んだはずだ。

*1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。

法学部時代、あるサークルに入っていた。憲法改悪阻止各界連絡会議、略して憲法会議。実際はその名称ほどお堅い組織ではなく、先輩とよく麻雀卓を囲んだ。もちろん勉強、研究活動もしたが。
目に焼き付いて離れない光景がある。ある日、大学構内で私服警官が吊し上げを喰らった。学生自治会の内偵をしていたのだ。警官を奪還するために機動隊員が大挙して構内に乱入してきた。ジェラルミン盾と警棒ヘルメットに身を固め、数十人が横一列になって押し寄せる。それはまるで津波のような迫力だった。「これが国家権力なのだ」。選挙権を得る前の田舎学生は東京を、国家を肌で感じ取った。

あれから30年以上の月日が過ぎた。当時、憲法改正は議論のための議論と考えていた。自民党の党是が憲法改正であることを知って保守の意味を考えたことを思い出す。それが今や、世論調査で10人に3人が改正必要と答える時世。ただし、それが現実を見据えたうえでの選択とは思えない。9条改正となると、必要と答えた割合は22%、必要なしの38%を下回る(NHK調べ)。しかも2年前は両者同率だったので改正論者は減少傾向と受け取れる。
この1年間に、集団的自衛権の閣議決定、特定秘密法の制定など、為政者にとって改憲へのレールが着々と敷かれつつあるように見える。戦後70年を迎えて、メディアもようやく報道に本腰を入れ始めた。その結果が改憲反対の声につながっているのだろう。
いっぽうで最大多数派なのは、どちらともいえない、と回答する人たちだ。統一地方選での史上最低投票率と併せ考えるなら、国民の政治離れこそが着実にこの国をむしばんでいるといえる。

興味深い”事実”を指摘して本日のコラムを締めたい。昭和42年(1967年)、玩具メーカーが「リカちゃん人形」を発売した。これまでの累計出荷数は5300万個以上で、着せ替え人形の代名詞となっている。
リカちゃんはフランス人父と日本人母を持つ小学5年生の設定。そして誕生日が5月3日(おうし座)なのだ。実際の発売日は7月、なぜ彼女は憲法記念日に生まれたのか?ラーメンに九条ネギを添えて、食べながら考えてみようか、、、。