令和最初の文化の日、愛知県一宮市のスポーツ文化センターでアマチュアボクシング大会が開催された。当院の患者さんが試合に出ると聞き、観戦に出かけた。「ザ・おやじファイト」とのタイトル通り、参加者全員が30歳以上。最高齢57歳のボクサー52人が、いつもは体操教室などに使われる体育館フロアーに拵えられたリングで熱戦を繰り広げた。
 ボクシングを観るのは久しぶりだ。しかも、リングサイドでの観戦は初体験。プロボクシングと違い、ヘッドギアに14オンスのグローブだが、目の前で汗が飛び散り、パンチを繰り出す時に口から洩れる「シュッ、シュッ」という音が聞こえるのに圧倒された。
 患者の藪木譲さんは40台前半。R 40のフェザー級中部地区王座決定戦を兼ねた試合。青コーナーから控え目にリングに上がると。四方それぞれにきちんと礼。4歳上の相手と3ラウンドを最後まで打ち合った。素人目にも、藪木さんの方が手数が多く、有効打も相手に優っている気がした。果たして、ジャッジは3人とも挑戦者がポイントで上回った。レフェリーが藪木さんの腕を高々と挙げた時の笑顔は、診察ではお目にかかれない表情だった。そう、映画「ロッキー」で、最後は判定負けしたがエイドリアン!と叫んで感無量の顔を見せたシルベスター・スタローンを思い起こさせた。
 「OYAJI 」のローマ字が彫られたチャンピオンベルトが誇らしげに輝いていた。長期休職から復帰した会社でも、この調子で行けるといいね。