これから先、どれほど長い時間が経てば、「あの日」が「3・11」を意味しなくなるのだろう。
マグネチュード9は千年に一度の割合の大きさの地震。そして、今年1月に亡くなった梅原猛 氏が「文明災」と呼んだ福島第一原発事故。セシウム137など放射能の半減期は人間の寿命の単位とは桁が違いすぎる。ほかにいい方法を思いつかないから、汚染土を再利用するという発想が出てきてしまう日本という国の情けなさに、多くの人は怒りすら失くしてしまっているのではないか。
福島県の児童に甲状腺癌が増えているというSNS上の指摘は、マスメディアではちゃんとは登場しない。こうした問題は冷静な事実の積み重ねが大前提なのだが、ネット情報が本当かどうなのか、マスメディアはきちんと取材分析し、結果を報道する義務があると思う。 昔、その端くれだったものとして、訴えておきたい。
あれから8年。あの日、産まれた子はもうランドセルを背負って通学する年だ。今年は暖冬のせいで、桜の開花が例年よりずいぶん早いと予想されている。あの日、チラチラ雪の舞い散る中でカタストロフィが突然押し寄せた東北地方の春を、誰よりも 待ち望んでいる地元の子供達を想い、祈る。桜は、必ず咲きますーー