Bruce Osborn(ブルース・オズボーン)という写真家をご存じだろうか? 僕はきょう初めて知った。
コラムのネタに迷うとき、よく開く検索が「きょうは何の日?」。そこに、「7月第4日曜は”親子の日”」とあった。

彼、オズボーンは1950年アメリカ生まれ。30歳で来日し、「親子」写真をライフワークとし、いろいろなジャンルで作品を手掛ける。日本人の妻と、2003年から「親子の日普及推進委員会」を発足、愛・地球博でも親子写真展を開催した。
オズボーン氏はいう。「この日を通じて、すべての親子の絆が強められたら素晴らしい」。5月第2日曜が母の日、6月第3日曜が父の日だから、親子の日は”ゴォ、ロク、シチガツ、ニィ、サン、シィニチヨウ”と相成った。洒落が好きなのは落語好きの日本人ばかりではないのだ。(ここで桂三枝(当時)のテレビCMを思い出す人は僕と同年配以上なハズだ。ハッキリ、クッキリ、グゥッ)。ちなみに親子の日は日本記念日協会から公式認定されている。

その親子の日翌日にあたる28日、こんな患者さんが一宮むすび心療内科を訪れた。
傷奈寧子さん(仮名・18歳)。生まれてすぐ、アルコール依存の父から虐待を受けた。双子の姉も一緒だ。父のふた周り年下の母は、父の稼いだ預金通帳を持って男と蒸発。寧子さんたちは施設に預けられ、中学に入ると、父方の親戚に預けられた。
高校入学後は、父のもとで暮らす羽目になる。それでも頑張って卒業だけはすると、逃げるように就職。パチンコ店の寮に住み込み、働いたが、上司からちょっと厳しい言葉を受けるとビクつき、いらいらし、連絡なしに寮を飛び出した。彼氏のもとに走るが「自分で播(ま)いた種」と手厳しすぎる対応をされ、インターネットで探した当院にたどり着いた、というもの。
下手なドラマでもこういう筋書きは書かない。あまりにも、の展開だからだ。しかし、現実にはこういったケースはまれではない。精神科・心療内科で働いていれば、こうした経験を持つ医療者は多いハズだ。

悲劇の星の下に生まれる、という表現はノンフィクションでは使い古しの言葉だ。彼女の星は、と嘆くより、過酷な運命を少しでも良い方向へ導く手助けをするのが、僕らの役目と心得る。道は遠く、険しいが。
親子の日発案者のオズボーン氏ならどういう言葉、いや写真を撮るのだろう。寧子さんとアルコール依存から立ち直った父がツーショットで微笑む写真を見てみたい。その写真の署名欄にはひとこと、こう添えてほしい。
Reborn のために。